オーディオブックは読書に入る?研究でわかっていること

オーディオブックは読書に入るのか。46の研究のレビューでは、理解度に確かな差はありませんでした。その証拠と注意点、読書記録での数え方を解説します。

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7分で読めます英語の原文から翻訳した記事です
緑の背景に、進捗を示す円盤、波形、速度のボタンが並んだオーディオブックプレーヤー。本を聴くことが読書に入るのかを表したイラスト

要点

  • 本を理解するという点では、オーディオブックも読書に入ります。46の研究、4,687人の参加者をまとめた2022年のメタ分析では、読むことと聴くことの理解度に、全体として確かな差は見られませんでした。
  • 読み手が自分のペースで進められる場合と、推論を必要とする問題では、読むほうがわずかに有利です。そのため、読み返したくなるような難しい内容では活字が役立ちます。
  • 同じ物語を読んだ場合と聴いた場合で9人の脳をスキャンした研究では、意味の地図がほぼ同じでした。ただし小規模な研究で、長期的な効果については何も示していません。
  • 聴いているときのほうが、気がそれやすくなります。約200人の学生を対象にした2013年の研究では、気がそれていたのは、聴いているときは確認の約半分、黙読しているときは約3分の1でした。
  • 最後まで聴き、内容についていけたオーディオブックは、読書目標に数えましょう。Goodreadsはオーディオブックを数えており、Omniphileでも数えられます。

オーディオブックは読書に入るのでしょうか。本を理解するという点では、答えはイエスです。46の研究、4,687人の参加者をまとめた2022年のメタ分析では、読むことと聴くことの理解度に、全体として確かな差は見られませんでした。自分のペースで進める場合と推論を必要とする問題では活字がわずかに有利で、聴いているときのほうが気がそれやすくなります。

以下では、この答えの裏付けとなる研究を、それぞれが何を測ったのか、誰を対象にしたのか、何を示せないのかとともに紹介します。この問題には実用的な面もあります。いまではアメリカの大人の大半がオーディオブックを聴いたことがあり、読書チャレンジは何を数えるかを決めなければなりません。私たちは本とオーディオブックを並べて記録できるアプリOmniphileを作っているので、両方を数えることには利害関係があります。とはいえ、どちらにしても証拠は変わりません。

46

読むことと聴くことの理解度に確かな差を見いださなかったメタ分析に含まれる研究の数Clinton-Lisell、Review of Educational Research誌、2022年

58%

オーディオブックを聴いたことがあるアメリカの大人の割合Audio Publishers Association、2026年

42.3%

2024年に音声を聴くのを楽しんだ8〜18歳の割合。読書を楽しんだのは34.6%National Literacy Trust、2025年

オーディオブックは、理解度の点で読書と同じくらい良い?

最も幅広い証拠は、ノースダコタ大学のVirginia Clinton-Lisellによるメタ分析で、2022年にReview of Educational Researchに掲載されました。同じ素材を読んだ場合と聴いた場合を比べた、さまざまな年齢層の46の研究、4,687人の参加者のデータをまとめたものです。全体として、両者の差は小さく、統計的に確かなものではありませんでした。1

活字が有利だった点が2つあります。読み手が自分のペースで進められる場合と、文字どおりの記憶ではなく推論や全体の理解を問う問題では、読むほうが聴くより成績が上でした。また、イタリア語のように綴りどおりに発音する言語では、英語よりも読むことと聴くことの差が小さくなるという弱い兆候もありました。1 この論文についてのインタビューでClinton-Lisellは、レビューの対象は読む力が十分にある人に限られていたこと、年齢層による明確な差は見られなかったことを説明し、結論をはっきりこう述べています。「読む代わりに聴くのは、まったくズルではありません」2

個別の実験も、同じ方向を示しています。

  • タブレットで読むノンフィクション。SAGE Openに掲載された2016年の研究では、91人の参加者を無作為に分け、ノンフィクションの本の序文と1章を、オーディオブック、電子テキスト、または両方同時のいずれかで与えました。理解度に有意な差はなく、直後でも2週間後でも同じでした。3
  • 2026年の学会発表。アメリカ教育学会(AERA)の2026年の年次大会でのポスター発表で、サンフランシスコ州立大学の研究者たちは、大学生にSteven PinkerのEnlightenment Nowから2つの抜粋を読むか聴くかしてもらいました。予備的な結果では理解度に差はなく、テーマについての知識が点数を最もよく予測しました。学生たちは活字版のほうに自信を持ち、より楽しんでいました。4 まだ論文として発表されていない初期の結果なので、軽めに受け止めてください。

オーディオブックは、脳にとって読書と同じくらい良い?

意味をつかむという点では、脳は2つを同じように扱っているようです。Journal of Neuroscienceに掲載された2019年の研究では、カリフォルニア大学バークレー校の研究者たちが、9人にThe Moth Radio Hourの物語を聴いてもらい、別の機会に同じ物語を読んでもらって、その間の脳をスキャンしました。物語は合わせて2時間以上です。意味に反応する脳領域のほとんどで、聴いたときと読んだときのパターンには高い相関があり、一方から作ったモデルで、もう一方に対する脳の反応を予測できました。5

この研究は、その範囲で受け止める必要があります。意味が脳でどう表現されているかを調べた小規模で慎重な研究で、単語は通常の読書とは違い、画面に1つずつ表示されていました。1年間オーディオブックを聴くことが、1年間活字を読むのと同じ効果をもたらすと示したわけではありません。読書をする人を長期的に追跡した研究はいくつかありますが(読書は脳にいいのかを取り上げた記事で紹介しています)、聴くことの長期的な効果を同じように追跡した研究は見つかりませんでした。

読書がまだ有利な点

証拠は近いものの、同じではありません。その違いは知っておく価値があります。

  • 読み返せること。メタ分析では、読み手が自分のペースで進められる場合に活字が有利でした。1 目は難しい文でゆっくりになり、1段落前に戻ることもできますが、ナレーターは止めない限り読み続けます。
  • 気がそれること。Frontiers in Psychologyに掲載された2013年の研究では、ウォータールー大学の学生約200人が、1つの文章を音読し、1つを黙読し、1つを聴きました。一定の間隔で確認したところ、気がそれていたのは、聴いているときは約半分、黙読しているときは約3分の1で、音読しているときが最も少なくなりました。聴いた場合は文章の記憶も最も乏しく、文章への関心も最も低くなりました。6 文章は学生が選んだものではないので、自分で選んだ本なら結果は違うかもしれません。
  • 聴きながら読んでも、あまり上積みはない。30の研究、1,945人の参加者をまとめた2023年のメタ分析では、聴きながら読む効果は読むだけの場合に比べてごくわずかで、それも読むペースがあらかじめ決められていた場合だけでした。自分のペースで読んだ場合には、確かな効果はありませんでした。7

子どもにとって、オーディオブックは読書に入る?

子どもたちは、以前より多く聴くようになっています。英国のNational Literacy Trustの調査では、2024年に自由時間にオーディオブックやポッドキャストを聴くのを楽しんでいた8〜18歳は42.3%で、読書を楽しんでいた34.6%を上回りました。2020年にこの質問を始めて以来、聴くことが読むことを上回ったのは初めてです。8

物語を理解するという点では、2022年のメタ分析は大人だけでなく子どもも対象にしており、年齢層による明確な差は見られませんでした。2 ただし、これらの研究が測っているのは理解度で、文字を読み解く力ではありません。読み方を学んでいる子どもがまさに練習しているのは、その力です。2023年のレビューは、読むのが苦手な子や第二言語の学習者は、音声に合わせて読むことで得るものがあるかもしれないとしていますが、著者は、確かなことを言うには研究が少なすぎるとしています。7 オーディオブックは物語を好きになる気持ちを育てますが、文字を読む練習の代わりにはなりません。

Goodreadsや読書チャレンジでは、オーディオブックは読書に入る?

Goodreadsでは入ります。Goodreads自身のブログは、運転中、料理中、運動中のどれに聴いたとしても「オーディオブックもカウントされます!」と、Reading Challengeの参加者に伝えています。9 ほかのチャレンジはそれぞれ独自のルールを決めているので、記録する前に確認しましょう。

オーディオブックは、多くの人にとって読書の一部になっています。Edison Researchが実施したAudio Publishers Associationの2026年の消費者調査によると、オーディオブックを聴いたことがあるアメリカの大人の割合は58%で、推定1億5,700万人にのぼります。10 また、楽しみのための読書が20年間で減ったと研究者たちが2025年に報告した際のデータ源であるAmerican Time Use Surveyも、すでにオーディオブックを聴くことを読書として数えています。11

あなたにとっての意味

  • 内容についていけたオーディオブックは数える。本を最後まで聴き、どんな話だったかを人に説明できるなら、研究が測っているあらゆる意味で、あなたはその本を読んだことになります。
  • 本によって形式を選ぶ。難しいノンフィクション、試験のための本、登場人物の多い物語は、ゆっくり読んだり読み返したりできる活字のほうが楽です。小説や回想録は、オーディオブックでも十分に楽しめます。
  • 注意に余裕があるときに聴く。散歩や長距離のドライブは、頭を使う作業よりもオーディオブックに向いています。気がそれていることに気づいたら、そのまま進まずに30秒巻き戻しましょう。
  • 速度に気をつける。速く再生すると時間は短縮できますが、気がそれたときの余裕は少なくなります。オーディオブック倍速計算ツールでは、それぞれの速度で短縮できる時間と、黙読の速さとの比較がわかります。

本とオーディオブックを一緒に記録する方法

読書目標を立てているなら、オーディオブックをどう数えるかを一度決め、それが見えるように記録をつけましょう。Omniphileでは、オーディオブックは独立したメディアの種類として扱われ、通読ごとに位置、パーセント、章で記録します。設定をオンにすると、聴き終えたオーディオブック、聴いたセッション、聴いた時間を本の目標に数えられます。初期設定ではオフなので、自分で選べます。OmniphileはiPhone・iPad・Macで使え、ダウンロードは無料で、オプションのPremiumプランがあります。Androidやウェブで読書をしているなら、そうした環境で使える記録アプリをおすすめの読書記録アプリで紹介しています。

出典

  1. Virginia Clinton-Lisell(2022)「Listening ears or reading eyes: A meta-analysis of reading and listening comprehension comparisons」、Review of Educational Research 92(4)、543–582。 https://doi.org/10.3102/00346543211060871 ↩ ↩2 ↩3

  2. Erik Ofgang「Listen Without Guilt: Audiobooks Offer Similar Comprehension As Reading」、Tech & Learning、2022年3月21日。 https://www.techlearning.com/news/listen-without-guilt-audiobooks-offer-similar-comprehension-as-reading ↩ ↩2

  3. Beth A. Rogowsky、Barbara M. Calhoun、Paula Tallal(2016)「Does modality matter? The effects of reading, listening, and dual modality on comprehension」、SAGE Open 6(3)。 https://doi.org/10.1177/2158244016669550 ↩

  4. Kayla King、Anisha Singh(2026)「Reading by Ear or Eye: Examining Comprehension, Self-Efficacy, and Reading Habits Across Audio and Print」、AERA年次大会、バーチャルポスター。 https://convention2.allacademic.com/one/aera/aera26/online_program_direct_link/view_paper/2278763/ ↩

  5. Fatma Deniz、Anwar O. Nunez-Elizalde、Alexander G. Huth、Jack L. Gallant(2019)「The representation of semantic information across human cerebral cortex during listening versus reading is invariant to stimulus modality」、Journal of Neuroscience 39(39)、7722–7736。 https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.0675-19.2019 ↩

  6. Trish L. Varao Sousa、Jonathan S. A. Carriere、Daniel Smilek(2013)「The way we encounter reading material influences how frequently we mind wander」、Frontiers in Psychology 4、892。 https://doi.org/10.3389/fpsyg.2013.00892 ↩

  7. Virginia Clinton-Lisell(2023)「Does reading while listening to text improve comprehension compared to reading only? A systematic review and meta-analysis」、Educational Research: Theory and Practice 34(3)、133–155。 https://commons.und.edu/ehb-fac/75 ↩ ↩2

  8. National Literacy Trust「Children and young people’s listening in 2024」、2025年1月24日。 https://literacytrust.org.uk/research-services/research-reports/children-and-young-peoples-listening-in-2024 ↩

  9. Goodreads Blog「Tips to Read More Books in 2023 with the Goodreads Reading Challenge!」、2023年1月13日。 https://www.goodreads.com/blog/show/2465 ↩

  10. Audio Publishers Association「APA Sales & Consumer Data」、2026年消費者調査、2026年6月5日公開。 https://audiopub.org/surveys ↩

  11. Jessica K. Bone、Feifei Bu、Jill K. Sonke、Daisy Fancourt(2025)「The decline in reading for pleasure over 20 years of the American Time Use Survey」、iScience 28(9)、113288。 https://doi.org/10.1016/j.isci.2025.113288 ↩

よくある質問

オーディオブックは読書に入りますか?
本を理解し、楽しむという点では入ります。46の研究をまとめた2022年のメタ分析では、読むことと聴くことの理解度に全体として確かな差は見られませんでした。自分のペースで進める場合と推論では読むほうがわずかに有利なので、難しい内容には活字が役立ちます。
オーディオブックは、脳にとって読書と同じくらい良いのですか?
意味をつかむという点では、かなり近いと言えます。2019年の脳画像研究では、同じ物語を聴いた場合と読んだ場合で、9人の脳の意味の地図がほぼ同じでした。生涯にわたって聴き続けた場合と読み続けた場合の長期的な効果を比べた研究は、見つかりませんでした。
Goodreadsでは、オーディオブックは読書に数えられますか?
数えられます。Goodreads自身のブログで、運転中、料理中、運動中のどれに聴いたとしても、オーディオブックはカウントされるとReading Challengeの参加者に伝えています。ほかの読書チャレンジは、それぞれ独自のルールを決めています。
子どもにとって、オーディオブックは読書に入りますか?
物語を理解するという点では、2022年のメタ分析には子どもも含まれており、年齢層による明確な差は見られませんでした。ただし理解度の研究は、文字を読み解く力を測っていません。読み方を学んでいる子どもには、その練習がまだ必要です。
聴きながら読むほうが、読むだけよりいいのですか?
ほとんど変わりません。30の研究をまとめた2023年のメタ分析では、音声に合わせて読む効果は読むだけの場合に比べてごくわずかで、それも読むペースがあらかじめ決められていた場合だけでした。自分のペースで読んだ場合には、確かな効果はありませんでした。

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